生ハムを作るには
日本には食品衛生法という法律があります。普段生活をするうえで気にすることはないと思いますが、実は食品は人を殺す力を持っています。
「食中毒」と聞くと焼き肉で肉をよく焼かずに生肉を触るお箸やトングと口に運ぶときに使うお箸やトングを一緒にして翌日お腹が下し気味になるなんてことを想像するかもしれませんが、そんな生易しいものではありません。令和4年の統計では食中毒発生件数は962件(患者:6,856人、死者:5人)報告されています(厚生労働省食中毒統計資料)。驚きなのが、ご飯を食べて死ぬ人が出てしまっているという事です。
生ハムは「非加熱食肉製品」というカテゴリーに分類され、とても取扱いの難しい部類のものになります。生肉を生のまま安全に食すというのはとてもシビアにコントロールされた状況を作らなければなりません。特に豚肉は生では食べないにも関わらず、生ハムとしては生で食べる事になります。そこで、生ハムを作って売るためには「食品衛生“管理者”」という任用資格(そのポジションにつくときに名乗る事ができる資格)が必要です。製造所の管理者となるために必要な資格なのです。
更には製造基準があり、作るにあたっての基準があります。そして、完成したとしても今度は成分規格があるので微生物検査などでクリアしなければならない条件がいくつもあります。そうして世に出せる製品になっているのです。生ハムを作るという事は結構危険な事をするという日々の覚悟と自分への戒めを持ち続けながら行っています。それが最低限の責務だと思い日々生ハム作りに取り組んでいます。